男女産み分け法には様々ありますが、100%男女を決定する方法はありません。
そんな中、唯一、確実に男女のどちらが生まれるか判断する方法があります。
それが、着床前スクリーニング(PGS)です。
今回、実際に着床前スクリーニングを行いましたので、報告したいと思います。
着床前スクリーニングの準備と方法は?
着床前スクリーニングには、5つのステップがあります。
ほとんど、体外受精のステップと変わりありません。
ただし、4の遺伝学的検査が間にあり、これにより染色体から男女どちらが生まれる受精卵かわかることになります。
遺伝学的検査は、次世代シーケンサー(NGS)と呼ばれる機器により行われるもので、1検体10万円弱で行うことが可能です。
体外受精自体に高額な費用がかかるため、1検体追加ごとに10万円ずつ高くなっていくのはつらいです。
しかし、どうしても男女の産み分けがしたい方や、遺伝病の関係で男女を選択しないといけない方にとっては、救世主とも呼ばれる手法になります。
以前の記事に詳しく書いてあるので、方法が知りたい場合はこちらをご覧ください。
実際に着床前スクリーニング診断を行った結果
検査に出せた受精卵はたった1個のみ
胚盤胞になり、検査に耐えうるグレードまで成長した受精卵は1個だけでした。
通常の体外受精でも、きれいに胚盤胞になる受精卵は、採取された卵からしても少数になります。
着床前スクリーニング検査を行うには、きれいに胚盤胞に成長し、膜をカットできるようになる必要があります。
そのため、検査に出すまで成長する、ことがそもそもいい受精卵に成長していることになります。
費用の面からはなにか安心した面がありますが、1個だけではとても不安です。
結果は、採卵後1か月ほどかかる
採卵して5日間培養後、培養士の方と話し合いがあります。
受精卵の成長具合でグレード分けされ、どれを検査に出すかの相談になります。
今回は、検査に出せるグレードまで成長した受精卵が1個だけでしたので、そのままその1個を検査に出すことにしました。
この、電話での相談時にどうするかを即決しないといけませんので、事前に夫婦間で何個まで検査に出すか相談しておいた方がいいです。
なにせ1検体増やすごとに10万円ほどかかってくるので、1個と3個でもえらい違いとなります。
検体は病院から送付され、検査依頼とかは書類を書いてこっちから送付する感じでした。
いよいよ結果が送付されてくる
1か月間とくにすることもなく、結果待ちです。
3週間から1か月くらいで封筒が届きました。
いよいよ結果、開封。
結果は、次世代シーケンサーの解析結果(全然見てもわからない)と説明文のシンプルなものです。
男女の結果でいうと、「男」であることが判明しました。
つまり、この胚盤胞を移植して妊娠すると、100%男の子が生まれることになります。
女の子を希望していたので、これにはショックを受けました。
しかし、結果を見ていると男女だけでなく、ほかにも染色体で異常があるようなことが書いてあります。
染色体異常が、「モザイク」となっている染色体が3箇所ほどありました。
この点については、説明を読んでもよくわからないので、検査会社と相談することにしました。
結果の解釈について、検査会社と相談する
モザイクとは何なのか
身体の細胞の中でも染色体の数がそれぞれ異なっている状況を意味しています。
例えば、ダウン症のモザイク症であれば、21番トリソミーを持つ細胞と21番トリソミーを持たない細胞が一定の割合で混在しているというような状態です。
モザイクをさらに理解するために染色体についても簡単に説明します。
そもそも染色体とは何なのか
一般に私たちの細胞は全て同じ染色体の数を持っています。
染色体異常がなければ、常染色体22種類が2本ずつと、男性ならX染色体とY染色体が1本ずつ、女性ならX染色体を2本が私たちの細胞の中に存在しています。
X染色体とY染色体を性染色体といい、常染色体44本と性染色体2本の合計46本が通常私たちの細胞が持っている染色体の数です。
例えば、ダウン症では21番染色体の数が2本から3本に増えて、トリソミーと言う染色体異常により合計47本となります。
通常の2本の染色体の状態をダイソミー、染色体の1本数が足りない時にはモノソミー、4本ならばテトラソミーなどのように呼ばれています。
染色体の数に異常がある場合にも、細胞分裂が起こるときには、1つの細胞から、同じ2つの細胞が分裂します。
分裂の前後で細胞の中の染色体の数は変化しません。
なので、染色体の数に異常がある人も体の細胞の染色体の数は同じであることが一般的です。
モザイク卵ならば必ずしも、障害のある子どもが生まれるのか
結論からいうと、「わからない」です。
ダウン症等の遺伝病の方を研究し、そういった病状が発言している方は、何番目の染色体に異常があるといったことはわかってします。
例えば、13番目であったり21番目の染色体が多かった場合なのですが、今回はその染色体ではない箇所がモザイクとされていました。
そういった例は、研究結果がほとんどありませんし、自然界においてはそういったモザイク卵はそもそも妊娠しないで淘汰されているかもしれません。
もし、今回の受精卵を用いて妊娠した場合、出生前検査を行い、染色体異常を検査することは必須となります。
もしかしたら、今回の箇所が全く問題にならないかもしれないし、重篤な症状が出るかもしれません。
先行研究がないために、こういった結果になることも覚悟の上で着床前スクリーニングを行わなければならないということが如実に結果に表れました。
病院側は結果を知らないため、移植するか判断する
今回は、染色体検査をして、受精卵の状況がわかりすぎた故に悩んでしまう典型的な例かと思います。
また、病院は検査結果を知らないため、患者側にどうですか?移植しますかと聞いてくるスタンスとなります。
私たちも、モザイク卵だった旨を伝ええましたが、病院側も移植を薦めることはしてこなかったため、どうにも判断がつきにくい状況になってしまいました。
結果から移植を見送ることに、そして今後について
検査料金はもったいないですが、ダメな可能性があることがわかっただけでも収穫だと思い、この受精卵の移植はとりあえず保留とすることにしました。
廃棄でなく保留としたのは、モザイクがあったにせよ胚盤胞まで成長し、従来であれば妊娠する可能性が高いと判断される受精卵だからです。
性別もわかっており、もしかしたら遺伝病の可能性があるため出生前検査が必須ということもわかっているため、廃棄はもったいないかとの判断です。
今後は、この受精卵を凍結し確保しつつ、新たに採卵をして移植へとすすんでいく予定にしています。